買収防衛策をめぐり対立する東京機械製作所の都並清史社長(左)とアジア開発キャピタルのアンセム・ウォン社長(撮影:尾形文繁)
国内最古の新聞輪転機メーカー・東京機械製作所が、同社の買収防衛策をめぐり投資会社のアジア開発キャピタル(ADC)とバトルを繰り広げている(詳しい解説は10月18日配信の記事:東京機械が「異例の買収防衛策」にひた走った根拠)。
10月22日には東京機械の臨時総会で買収防衛策の発動が賛成多数で認められた。ただそれは、4割近い東京機械株を握るADCの議決権行使を認めないうえでの可決だった。ADCによれば、東京機械がADCの議決権行使を認めていれば、反対が過半数となり、防衛策の発動が認められないところだった。
ADCの議決権は認められるべきだったのか、そうではないのか。会社法が専門で、東京機械側の意見書を書いた東京大学社会科学研究所・田中亘教授に話を聞いた。

主要国ではそもそも起こりえない

――東京機械は、ポイズンピル発動の是非を問う10月22日の株主意思確認総会で、4割近い同社株を保有するADCの議決権行使を認めませんでした。こうした例は過去にあるのでしょうか。

東京機械の臨時総会が初めてでしょう。

――世界的にも初めて?

主要国において初めてでしょう。例えばアメリカの場合、買収防衛策が正当化された「ユノカル基準」という1985年の判例の下で、企業は「相当の範囲」で防衛をしている。つまり、ポイズンピルは取締役会決議だけで発動できる。意思確認総会ではかるということに、そもそもならない。

欧州ではそもそも、市場での買い集め行為で経営支配権を取得することはできない。30%以上の議決権を取得する時は、全株式を対象にTOB(公開買い付け)をしなければいけないことになっている。

――4割近い株を持っている株主の議決権行使を認めないのは、「株主を、その保有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない」と定めた会社法109条1項の「株主平等の原則」に反するのではないしょうか。

割り当てられた新株予約権を大量買付者が行使できない、という対抗措置自体には、株主平等原則上の問題はあるかもしれない。ただ、同原則は例外を許さないものではない。同原則に反していても「衡平の理念に反せず」「相当なものであれば」許されるだろう。

――法的に「衡平」で、理屈に合っていれば例外的に許されると?