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岸田政権は“安定低空飛行"で推移へ 側近グループは高学歴・頭脳集団

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側近の高学歴集団が政策を入念に準備し、岸田氏自身もしたたかに変身。短期落城は回避か。

10月31日投開票の総選挙に臨む岸田文雄首相(左)と甘利明・自民党幹事長(日刊現代/アフロ)

「私は、財務省を心あるモノ言う犬の集団にしたいと考えています」──。菅義偉政権下の7月9日、当時の杉田和博内閣官房副長官(事務)が主催した各府省庁の事務次官連絡会議に初めて出席した矢野康治財務事務次官は、このように語っていた。

矢野氏は「後藤田五訓」(中曽根康弘政権の後藤田正晴官房長官が内閣官房職員に対して行った訓話)を引き合いに出して、その第3項「勇気をもって意見具申せよ」と、第5項「決定が下ったら従い、命令は実行せよ」も披瀝していた。

永田町と霞が関で大きな波紋を呼んだ矢野氏の寄稿文「財務次官、モノ申す─このままでは国家財政は破綻する」を掲載した『文藝春秋』(11月号)が発売された10月8日の3カ月前のことだ。同誌記事中に「この五訓は吏道(役人道)の基本を見事に示していると思います」と書いているように、かねて厳格な財政再建論者として知られる矢野氏は“確信犯”である。

たとえそうだとしても、岸田文雄首相周辺の逆鱗に触れたのは、記事冒頭の「最近のバラマキ合戦のような政策論を聞いていて……言うべきことを言わねば卑怯でさえあると思います。数十兆円もの大規模な経済対策が謳われ……」であった。

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