膨大なページに及んだ三菱電機の調査報告書(下)。今後最終とりまとめを進めるが、不足している視点はないのか(上写真:今祥雄撮影、下写真:編集部撮影)
相次ぐ検査不正問題に揺れる三菱電機。社外の弁護士らによる調査委員会が10月1日に公表した報告書は「経過報告」との位置づけで、最終的な調査報告は2022年4月をメドに行われる。
不正の原因を分析し、有効な再発防止策を作ることが急務だ。会社側は最終報告を待たずして、品質、風土、ガバナンスの3つの分野に関して改革を進めると発表した。
ここまでの調査のあり方に問題はないのか。企業不正の分析に詳しい元芝浦工業大学教授の安岡孝司氏に、今後発表される最終版へのリクエストを含めて、今回の調査報告書の内容を分析してもらった。
やすおか・たかし/1985年みずほ情報総研入社。金融技術開発部部長などを経て、2009年から2019年まで芝浦工業大学大学院工学マネジメント研究科教授。企業リスク管理、企業財務などの講義・演習を担当。九州大学大学院理学研究科中退。数理学博士(九州大学)(写真は2018年、撮影:尾形文繁)

調査報告書の目的は株主や投資家、取引先などからの信頼回復であり、私はそういう観点から、各社の報告書が信頼回復に役立つのかをチェックしている。

私が開発したチェックリストで、三菱電機の調査報告書を採点したところ、100点満点中30点だった。ほかの企業の報告書は経験的に45~75点程度なので、この点数は低いほうだ。

50点以下の報告書では信頼回復が困難だと思う。今後最終報告が出る予定なので、そこに以下で述べる点が改善されれば、もう少し点数は上がるはずだ。

調査委員会の構成が不透明

まずは形式的な面から。気になるのは調査委員会のメンバー構成が記載されていないこと。これでは誰が報告書を書いたのかわからない。

会社から発表された別の資料を見ると、3人の委員の名前が出ているが、報告書自体には書かれていない。そういう意味では非常に不透明な報告書だと言える。

もう1つ気になるのは、調査委員会に入っている法律事務所が西村あさひ法律事務所だけとみられる点。西村あさひ法律事務所が独占受注しているようだが、そもそも報告書にはっきり書かれていないから検証できない。