新工場で生産する半導体は回路線幅が22~28ナノメートルのもの。自動車向けなどで需要拡大を見込むが……(写真:TSMC)

製造業再興の下支えとなるか。半導体受託製造の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は10月14日、オンラインで開催した決算説明会で、日本国内初となる工場を建設すると発表した。魏哲家CEOは「顧客と日本政府の双方からこのプロジェクトに強いコミットメント(確約)を得た」と話した。

新工場は2022年に着工し、2024年末の稼働を目指す。場所については明らかにしなかったが、ソニーグループとの合弁事業になる公算が高く、同グループの半導体事業子会社が取得申請済みである熊本県菊陽町の工場の隣接地になるとみられる。

投資総額の半分程度を政府が補助へ

日本政府はかねて、重要物資である半導体について、安定調達のために海外の製造受託企業の生産拠点を誘致することを目指してきた。とりわけ足元では、コロナ禍からの経済活動の回復に伴い半導体の供給不足が長期化。スマートフォンや自動車など幅広い製品の生産に影響が出ている。

加えて、世界の半導体の大部分を生産する台湾では目下、中国による政治圧力が強まっている。現地の生産工場に頼りきりでは、有事の際、日本の製造業が大混乱するリスクもある。

TSMCの日本工場建設について15日の記者会見で問われた萩生田光一・経済産業相は、「半導体はあらゆる分野に使われる『産業の脳』。安定供給体制の構築は安全保障の観点からも非常に重要だ」と語った。