クラレが事業拡大に大きな期待を寄せる活性炭。環境意識の高まりで需要が増えているという(写真:クラレ)

「1本足打法」から抜け出せるか――。高収益企業のクラレが正念場に立っている。

素材、化学メーカー中でも、クラレは液晶画面向けの光学用フイルムで世界シェア8割を握る強みを生かし、高い利益率を誇ってきた。2021年12月期は営業利益率10.8%と改善を見込むが、近年、利益率は下降気味だ。

背景にあるのが光学用フイルムの採算低下とみられ、新たな柱の育成が急務となっている。そうした中、事業拡大の1つに据えるのが、電子部品や自動車向けに使われる耐熱性樹脂や、日用品向けの熱可塑性合成ゴムなど高付加価値の製品を柱とするイソプレン事業だ。約400億円を投じてタイに新工場を建設しており、2022年半ばに完工予定だ。

見えない「飛躍」の兆し

もう1つ、イソプレン以上に大きな期待を寄せるのが活性炭事業だ。活性炭は、ヤシ殻、石炭、木炭などを原料にした素材の表面に加工で穴をあけ、そこに汚染物質や化学物質を吸着させて水や空気を浄化する製品だ。

クラレではアジアを中心に事業を展開してきたが、2018年3月に活性炭事業で世界最大手、アメリカのカルゴン・カーボン社を1200億円超で買収し、事業の強化を図った。これはクラレとして過去最大の買収で、事業エリアの拡大や相乗効果を見込んでいる。

ただ、買収から3年経過したが飛躍の兆しは見えない。活性炭事業を担当する髙井信彦・取締役常務執行役員は「今後の成長への自信はそうとうある」と断言するが、光学用フィルムがピークアウトする前に柱に育つのかは未知数だ。

クラレ全体の業績を見ると、光学用フィルムを主軸とするビニルアセテート事業への依存度は極めて高い。2020年12月期は営業利益に占める比率が7割を超す(全社消去費を除く)。営業利益率は約16%と、他セグメントと比べて突出している。