たかい・ひろゆき 神戸大学経営学部卒業、住友商事入社。英国ロンドンで、貴金属や銅・アルミなどの取引を担当。金融事業本部長、エネルギー本部長を経て、2013年住友商事グローバルリサーチ社長、18年同社ワシントン事務所長。20年7月から欧州エネルギー取引所グループ上席アドバイザーに転じる。(撮影:梅谷秀司)

普段から金融市場をフォローしている読者も、「世界のエネルギー市場で台風が吹き荒れている」と聞いてあまりピンとこないのではないか。しかし、長年エネルギー市場を見てきた筆者からすると、今世紀最大の台風襲来といっても過言ではない危機が迫っている。

一般的にエネルギーと聞けば石油を思い浮かべる読者が多いと思うが、今台風の目になっているのは天然ガスである。天然ガスは地産地消の商品で地域性が高く、国際商品というより国内商品の色合いが強い。価格も含めて一般にはあまり理解されていない商品といえる。

石油が主に輸送用に使われるのに対してガスは発電用に使われる。すなわち、ガス危機は直ちに電力危機に直結する。冬季に天然ガスの供給が途絶えれば最悪の場合、電気も都市ガスも止まり生命にも危険が及ぶ。われわれの生活にとっては不可欠な商品である。