コロナ禍では多くの失業者が発生。失業保険の給付申請には、多くの人が並ぶ結果に(Joseph Rushmore/The New York Times)

2020年の新型コロナウイルスの感染拡大から一定の時間が経ち、失業保険給付の増額や現金給付、医療保険といったセーフティーネットの成果を示す統計が米国で公表され始めた。浮かび上がるのは、健闘する安全網の姿と今後への教訓である。

セーフティーネットの役割は、貧困率の推移が鮮明に示している。小売業などの低賃金業種への打撃などから、コロナ禍による失業の被害は貧しい国民層で大きく、本来なら貧困率が上昇するはずである。ところが、9月中旬に米商務省センサス局が発表した統計によれば、20年の貧困率(失業保険給付といったセーフティーネットの効果を加味)は9.1%と、前年の11.8%から低下した。米コロンビア大学によれば、この数値が10%を下回るのは、試算可能な1967年以降で初めてだ。

コロナ禍にもかかわらず、貧困率が歴史的な低水準となったのは、政府が機動的に失業保険給付の増額や現金給付といった対策を講じたからだ。センサス局によれば、一連のセーフティーネットの効果を除くと、20年の貧困率は前年から上昇していたはずだという。