楽天モバイルは6月末時点での累計契約申込数が442万に。楽天グループの三木谷社長は「おおむね想定どおり」と評価する(撮影:尾形文繁)

まさに”背水の陣”といえる状況だ。楽天グループは9月30日、子会社である楽天銀行の株式上場の準備に入ったと発表した。実現すれば楽天グループとして初めての子会社上場となる。上場後も連結子会社とする予定だ。

複数の証券アナリストは、楽天銀行の純資産が約1900億円であることに鑑み、上場時の時価総額は数千億円規模になるとみている。この巨額資金の行き先は明白だ。通信子会社の楽天モバイルである。

楽天の三木谷浩史社長は今年2月の決算説明会で、当初は約6000億円と見込んでいた通信事業における4G基地局の設備投資額が3~4割増え、1兆円に迫る見通しを示した。

さらにシティグループ証券の鶴尾充伸アナリストは、4Gの「プラチナバンド」(つながりやすい700~900メガヘルツの周波数帯)の再配分や5G周波数帯の追加割り当てが実現すれば、約5000億円の追加投資が必要になる可能性が高いと試算する。

格付け会社が財務悪化を懸念

今年6月末時点の携帯電話事業の設備投資実績は6000億円強。つまり今後の投資には1兆円近くの資金が必要になる。だが楽天の有利子負債はこの数年で急増しており、通信参入発表前の2016年末に14.8%だった自己資本比率が、20年末には4.9%まで低下している。

楽天モバイルは2020年4月のサービス開始後に1年無料キャンペーンを実施したうえ、基地局の償却費やKDDIへのローミング費用が負担となり、同年に前年比約3倍となる2269億円の赤字を計上。今年も1~6月ですでに1972億円の赤字となっている。