「大深度法は違憲」住民訴訟弁護士が訴える大問題 外環道陥没事故が示したリニア工事の危険性

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地権者の同意や補償を行うことなく地下深くの工事を認める大深度法。同法に基づく工事の危険性とは。

国土交通省は大深度地下の工事では「地上に影響はない」と答弁していた(編集部撮影)

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地権者の同意や補償を行うことなく地下深くの工事を認める「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」(大深度法)。国は「地上に影響は生じない」と説明してきたが、東京外かく環状道路(外環道)の工事によって陥没事故が発生した。
沿線に住む住民らは2017年、外環道の工事について国の大深度地下使用認可の取り消しなどを求める訴訟を起こし、現在も東京地裁で係争中だ。原告代理人を務める武内更一弁護士に陥没事故やJR東海のリニア中央新幹線工事の評価について聞いた。

「地表に影響はない」はフィクションだ

――「地上に影響は生じない」と信じられてきた大深度地下の工事で、陥没事故が起きてしまいました。

大深度法の最大の問題は、「地表に影響はない」という虚構、フィクションを前提にした法律ということだ。(大深度法の立法の前に有識者を集めて議論した)調査会答申でも、実質的に地表に影響はありうると書いてある。

ところが、国会では「地表には影響がない」という答弁が繰り返された。地表に影響があるとなれば、その補償をしなればならず、地権者の承諾なしにトンネルはつくれない。

(調査会の)答申にも書いてあるが、大都市では地権者に了承を取るのは困難で、地権者の承諾なしで工事ができないかを追求した。それで地表に影響はないことにした。しかし、それはウソだったことが明らかになった。

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