「敵は炭素であり、内燃機関ではない。カーボンニュートラルに向けて技術の選択肢を広げたい」。トヨタ自動車の豊田章男社長が語るように、電気自動車(EV)シフトに猛進する欧米勢とは対照的に、トヨタが掲げるのはあくまでも「全方位戦略」だ。

この5月、トヨタは2030年に販売全体の8割に当たる800万台を電動車にする計画を発表した。主軸はハイブリッド車(HV)で、プラグインハイブリッド車(PHV)と合わせて600万台。EVは200万台、それも燃料電池車(FCV)込みの台数だ。

EVやFCVは車両コストが高く、新たなインフラ整備も必要なためまだまだ普及に時間がかかるとトヨタは考えている。一方、HVは既存インフラが利用できるうえ、比較的安価なコストでCO2削減効果が大きい。「電動車の当面の現実解はHV」というわけだ。

実際、昨年2月に発売したHV「ヤリス」の燃費性能はガソリン1リットル当たり36キロメートルと世界最高水準。厳しい欧州の環境規制対応では、EV専業の米テスラを除けばトヨタがトップランナーである。今後、中国や東南アジアでもHVを拡販できるとトヨタはみている。

だが、欧州は35年にHVを含むガソリン車の新車販売を事実上禁止する方針を示す。世界はHVを飛ばしてEVへ進みかねない。EV販売ではテスラがすでに四半期ベースで20万台に達したが、トヨタは今年1~6月でわずか5800台。投資家からはトヨタの出遅れを懸念する声が出ている。

電池コスト半減を宣言