敬語は本当に奥が深い。間違った使い方であっても、時を経て一般的に使われるようになると正しい敬語になることもある。また、言語の地域性の影響を受けるほか、シーンによって慣用的に使用され正否が複雑なケースもある。だから私は、敬語を「生き物」として捉えている。そんな敬語の、ビジネスにおける正しい使い方を誤用の例から見ていこう。

生き物である例の1つは、「全然」という言葉。本来はその後に「〇〇ない」と否定が来なければならない。しかし、いつしか「全然(肯定)」が使われるようになり、それが用法として誤りではなくなった。「れる」「られる」の「ら」抜き言葉も同様だ。

相手方に対して在否を聞く際の「〇〇さんはおられますか」は、「おる」という謙譲語を相手に使った誤りだが、愛知など中部地方では「おられる」が尊敬語に相当し、正しい使い方になる。いつしかそれが東京でも一般的に使われるようになっている。敬語には、こうしたグレーゾーンが増えている、正否の複雑な現状がある。

ビジネスに敬語は必須だが、普段から尊敬語、丁寧語、謙譲語の区別を意識している人は少ないだろう。尊敬語と謙譲語で言葉が変わるときに、相手に関して謙譲語を使ってしまうのが、実際によくある間違った敬語の使い方だ。