たかた・あきら 1948年生まれ。父親が経営する「カメラのたかた」入社後、86年に分離独立し、「たかた」(現ジャパネットたかた)を設立。ラジオ・テレビ通販に参入し、大手通販会社に成長させた。2015年に社長の座を長男に譲り退任。同時にA and Liveを設立。

テレビ通販で全国的な知名度を得たのがジャパネットたかた創業者の髙田明氏である。その独特の話術の秘密を聞いた。

「うまさだけでは話は伝わらない」

──これまで話し方や伝え方について、心がけてきたことは?

このコロナ禍で、伝えること、コミュニケーションの大事さが改めて認識された。国際紛争に社会の分断、すべての事象は伝わったか、伝わっていないかということに根本的な原因があるように思える。人間はつねに誰かと一緒に生きていかなきゃいけない動物でしょ。夫婦や親子であっても、あるいは上司と部下、国と国であっても、対立の中に見え隠れするのはコミュニケーション不足や伝え方の問題と考える。

私が重要だと考えるのは、伝えたということと、伝わったということとの違い。政治の世界や企業の世界でもそう。国民や消費者に自分たちの考えが伝わったかどうか、確認もせずに伝えたつもりになっているように感じる。

ラジオ・テレビ通販の30年の経験上、伝えたつもりでは売り上げも利益も出ない。伝わったという事実があって初めて、お客様が買うか買わないかの選択をされる。伝えたつもりでは、その選択までいかない。だから私は、伝わったかどうかをつねに自分自身に問い続けていた。

ラジオ通販では、1万円でも売れなかったものもあるが、30万円もするパソコンを何千台と売ったこともある。お客様に商品の価値を感じてもらうためには、自分の思いをどう伝えていけばよいのか。自分なりに一生懸命、考え抜いてきた。今は、音声だけでも価値を感じてもらえる提案ができれば、100万円の商品でも、1億円以上の土地でも売れると思う。

──テレビはどうでしょうか。