やすかわ・けんじ 1960年生まれ。86年東京大学大学院修了後、山之内製薬(現アステラス製薬)入社。主に臨床試験などを扱う開発業務に従事。2012年から経営戦略を担当。18年4月から現職。(撮影:尾形文繁)
製薬業界で売上高2位のアステラス製薬。今年5月に発表した中期経営計画では、2025年の時価総額や開発中の新薬の売上高見込みなど、多くの数値目標を掲げた。同社の売上高の4割を占める大黒柱である前立腺がん薬、「イクスタンジ」の特許切れを27年に見据え、どう成長戦略を描くのか。安川健司社長に聞いた。

株式時価総額の2025年目標

足元は3.5兆円。達成するには、新製品の売上高を急速に伸ばし、現在初期段階にある候補の開発を着実に進める必要がある。

──中期経営計画発表後、株価は数日で10%ほど上昇しました。

今後5年かけて時価総額を今の倍の7兆円にするという目標を掲げた。数字ありきで作ったわけではなく、現在開発している新薬候補がきちんとすべて世界で売り出される、という大前提がある。やるべきことは、新薬を遅れなく発売していくこと。加えて次の世代の新薬の研究も進展させていくこと。これらができれば、世間はこれくらいの評価をくれるはずだというストーリーだ。

──開発中の薬のピーク時売上高見込みなど、明確に示してこなかった定量目標も開示しています。

これまでは「不確定なことはすべて言いません」というスタンスだった。でもよくよく考えれば、これは誰のためにもなっていない。製薬ビジネスは10個のプロジェクトがあったら、開発ステージによっては9個死んでしまう。製薬企業に興味のある投資家にとってそんなことは当たり前。「不確実だから何も言わない」という姿勢はそもそも成り立たない。