中国恒大集団の本社ビルの前には多くの警察官の姿が(写真:財新記者 郭現中)
中国の不動産大手、恒大集団(エバーグランデ)の巨額債務問題が世界の金融市場を揺るがせている。恒大集団の2020年のグループ売上高は5072億元(約8.6兆円)と民間の不動産企業の中で最大手級だ。
高いレバレッジをかけた大規模住宅開発で飛躍的に成長を遂げ、買収したプロサッカークラブの運営やEV(電気自動車)、ミネラルウォーター事業などに多角化。一方、その負債総額は33兆円に膨張し、資産運用商品の償還遅延事件をきっかけに経営危機が顕在化した。
目先は社債などの償還ラッシュを乗り切れるかが世界から注目されている恒大集団だが、問題の根源には同社の極めて特異な資金調達構造があった。中国の調査報道メディア「財新」の特集はその暗部に切り込んでいる。特集記事を前編、後編でお届けする。

深圳市南山区にある高さ202メートルの巨大ビル。この場所が現在、世界の金融市場を揺るがす暴風の中心となっている。

1~2カ月前から、この場所には「債権回収を求める」と書かれた横断幕を掲げる施工業者やサプライヤー、さらには給料を受け取っていないという農民工(出稼ぎ労働者)たちがひっきりなしに現れるようになった。

彼らが債権を回収しようとしている相手は、フォーチュンの「グローバル500ランキング」で122位にランクインした中国の大手不動産企業――恒大集団だ。恒大集団は1996年に広州で創立され、2016年に本社を深圳に移している。

本社ビル前の債権回収騒動は、2021年9月8日以降に急増した。この日、恒大集団傘下の恒大金融財富管理(以下、「恒大財富」)が、自社で販売していた理財商品(資産運用商品)の償還を延期すると発表し、数十万人の投資家たちが一瞬にして大混乱の渦に巻き込まれることとなったのだ。

投資家が恒大集団の本社に集結