東京都内のソフトバンクショップの店頭では、発売から11カ月経つiPhone 12が「ガイドライン」どおりに入り口のいちばん目立つ場所に陳列されていた(9月21日、記者撮影)

9月24日に華々しく新型のiPhone 13の発売を開始した、アメリカのアップル社。同社スマートフォンの世界シェアは14%前後だが、日本では6割弱と、他社製品を圧倒する。

その裏で、日本国内の携帯大手各社が販売代理店や量販店等に対し、iPhoneを陳列場所で優遇することを指示したり、販売台数ノルマを課したりしていることが東洋経済の取材でわかった。守れなかった場合のiPhoneシリーズの取り扱い資格停止もちらつかせており、独占禁止法違反にあたるおそれがある。

そして、携帯大手各社の指示やノルマは、実質的にはアップル社によるものという可能性が濃厚だ。

「一番目立つ場所に展示して」

「iPhone、iPadの展示は、店内で一番目立つ場所に展示してください」

これはソフトバンクが携帯ショップを営む販売代理店等に配布している、アップル製品の販売ガイドラインに明記されている文言だ。大型店・中型店・小型店などさまざまなタイプの店舗に合わせ、カラーの図解入りで具体的な陳列場所まで指定する念の入りようだ。

ソフトバンクが販売代理店などに配布している内部資料。アップル社製品の陳列場所を図入りで細かく指定し、違反した場合には「iPhoneの取り扱い、販売を停止させていただく場合がある」としている(記者撮影)

あるソフトバンクの販売代理店関係者は、「いちばんいい場所はずっと“アップル様”の指定席だ」とこぼす。

大手各社のブランド名を冠した携帯ショップならば店舗の入り口すぐ、家電量販店などではモバイルコーナーに入ってすぐ。春夏秋冬、新型機発売直後など旬の時期であろうとなかろうと、アップル製品は一年を通じ店舗内の「一等地」に置かれ続けている。

対価を支払って仕入れた製品をどこに陳列するかは、本来なら店側の自由だ。だが、「アップル社以外の新製品が出た時期に、そちらをいい場所で売り出したくても、指定席にいるアップル社の製品は絶対に動かせない。そうすれば彼らのルールによって『違反』と認定され、iPhoneの販売資格を剥奪されてしまう」(前出の関係者)。

加えてソフトバンクのガイドラインには、「競合他社との比較表の掲出は禁止」とも記されている。製品のスペックや値頃感を消費者にわかりやすく説明するための工夫の余地も、代理店には限られているようだ。

販売代理店等にこうした指示を行っているのは、ソフトバンクだけではない。NTTドコモやKDDI(au)のガイドラインでも、多少の文言の違いこそあれ、判で押したように似通った内容が並ぶ。各社とも店舗に展示の証拠写真まで提出させる徹底ぶりだ。