コロナ後の経済はどうなるのか。清滝教授はアメリカ経済の回復途上で抱えるリスクを指摘。各国で研究が進む中央銀行デジタル通貨の将来についても語った。

 

――コロナ危機に対応した金融・財政政策について聞かせてください。リーマンショック後に本格化した中央銀行の「非伝統的な金融政策」が、パンデミック(感染症の世界的流行)に端を発した2020年3月の世界的な金融暴落時に復活し、再び危機を救いました。

昨年3月は、かなり危ないときがあった。社債の金利や民間の資金調達コストが跳ね上がった。長期のアメリカ国債金利まで上がってしまったのには、多くの人が仰天した。要するに流動性プレミアム、リスクプレミアム、期間プレミアム(長期金利と短期金利の差)が一斉に高騰した。しかも株価が暴落し、途上国からお金が流出し始めた。放っておいたら金融危機になっていてもおかしくなかった。

【ワンポイント解説】

プレミアム

投資家が実質金利への上乗せを求める金利部分のこと。流動性プレミアムは流動性が低い金融商品に対して、リスクプレミアムは債務不履行リスクのある金融商品に対して、期間プレミアムはより長期間それを保有せざるを得ない金融商品に対して、それぞれ投資家が求める上乗せ金利。

ただ、金融当局もよくわかっていた。彼らには世界金融危機時のシステム対応が残っていて、それを全部、再開した。さらに世界的に米ドル不足となる中、FRB(米連邦準備制度理事会)は先進国だけでなく、広く途上国ともスワップラインを結んで米ドルを大量供給した。

僕たちの論文を含めて、この分野の研究や経験が蓄積され、今では「非伝統的な金融政策はもはや伝統的である」と言われている。結局、金利がゼロに張り付いてしまったら、それ以降は中央銀行が金融資産を買い入れ、流動性プレミアムや期間プレミアムなどを下げることで対応することが自然になっている。

――コロナ禍の収束はまだ先ですが、世界的な金融・財政政策のを大きく拡張したことにより、危機後の金融市場は株価にしろ、むしろ過熱ぎみです。