9月29日に自民党総裁選挙が行われる。最大与党である自民党の総裁が国会で首相(内閣総理大臣)に指名されることは確実だ。次期首相が誰になるかは、日本の内政だけでなく、国際政治にも重要な影響を与える。

ロシアは河野太郎・新型コロナウイルス感染症ワクチン接種推進担当相に注目している。河野氏が自民党総裁(=日本国首相)になれば北方領土問題を解決し、日ロ関係が飛躍的に改善される可能性があるからだ。

2018年11月14日、シンガポールで安倍晋三首相(当時)とロシアのプーチン大統領が今後の北方領土交渉の方針に関して重要な合意(「シンガポール合意」)に達した。この合意の対外的な発表は、「1956年の日ソ共同宣言に基づき平和条約交渉を加速する」というものだ。これが意味する内容はこうだ。歯舞(はぼまい)群島と色丹(しこたん)島は日本領、国後(くなしり)島と択捉(えとろふ)島はロシア領と両国間で合意し、国境線を画定して、日ロ平和条約を締結する。ロシアは国後島と択捉島が日本に帰属したという歴史的経緯と日本国民のこれら2島に対する愛着を考慮して、渡航、経済活動などについて日本国民を優遇する特別法を作る。日本国民はロシア法に服する形で国後島、択捉島に簡易な手続きで渡航し墓参、居住、経済活動ができる。「2島返還プラスアルファ」で北方領土問題を解決するという考え方だ。シンガポール合意締結時、河野氏は外相だったのでこの合意の内容を熟知している。菅義偉首相もシンガポール合意を継承したが、コロナ禍の影響もあり、在任中にプーチン大統領と対面で会談する機会はなかった。