日本国内で働く外国人技能実習生は38万人近くに達し、人手不足の職種では欠かせない労働力だ。その一方で、技能実習制度(実習制度)には批判も多い。「実習生とは名ばかりで、外国人単純労働者受け入れの抜け道に使われている」「悪質業者の中間搾取がひどい」「実習生の人権を侵害するブラック企業が多い」などだ。

新聞やテレビでは、そんな批判が盛んになされる。しかし同様の指摘は、筆者が実習生問題の取材を始めた2007年ごろからあった。最近も米国務省が実習制度を「人身売買」と非難したことがニュースになったが、少なくとも07年以降、同省の年次「人身取引報告書」では毎回、言及されてきた。

にもかかわらず、なぜ実習制度は存続しているのか。問題の本質は、悪質業者をはじめとする「ブラック企業問題」なのか。実習制度の廃止を主張する有識者も増えているが、廃止さえすれば問題は解決するのだろうか。

実習制度を象徴する存在がベトナム人だ。ベトナム人実習生は約21万人を数え、実習生全体の半数以上を占める。一方、職場からの失踪や犯罪などが問題になっている。

昨年、そんなベトナム人実習生に対する日本政府のスタンスを物語る政策があった。新型コロナの感染拡大が収束に向かいかけた夏以降、「国際的な人の往来再開に向けた段階的措置」として実施された、外国人を対象にした入国制限の緩和措置である。 

この緩和措置に関し、大手メディアは「中韓を含む11カ国・地域からビジネス関係者などの入国を受け入れている仕組み」(21年1月7日、朝日新聞電子版)などと解説した。まるで中国や韓国のビジネスパーソンたちを受け入れるかの印象を受けるが、実際は違う。