味の素|タイの孫請け工場、過去に労働搾取が発覚

外務省は9月6日、「ビジネスと人権」に関する国内企業17社の取り組み事例を公表した。取り上げられているのは経団連などの推薦を受けた企業で、「選ばれし優等生」といえる。味の素もその1社だ。ただ、味の素がそこに至るまでには紆余曲折があった。

サプライチェーン上の人権リスクに味の素が本格的に直面したのは2014年のことだった。タイの水産業における移民労働者の劣悪な労働環境を英ガーディアン紙が報道。人身売買によって連れてこられた労働者が、船上で長期間の無給労働を強いられていたことが明るみに出た。中には暴力を受け殺害されるケースすらあった。

この事態を受けてEU(欧州連合)は、域内への水産物輸出の禁止も示唆する強い態度でタイ政府に改善を求めた。スーパー大手のテスコなど英国企業10社が共同で対応を図るなど足並みをそろえた。

一方の日本では、改善を促すような動きはなかった。タイからエビを調達していた味の素もそうだ。一連の報道では、問題となった労働現場で捕られた魚が養殖エビの餌に用いられていたことで、「タイ産エビの安さの理由は奴隷労働にあった」と指摘されていた。だが、「1社ではどう取り組めばいいのか、正直アイデアが浮かばなかった」と、サステナビリティ推進部の中尾洋三氏は振り返る。

リスク把握に乗り出す