もりた・ちょうたろう 慶応義塾大学経済学部卒業。日興リサーチセンター、日興ソロモン・スミス・バーニー証券、ドイツ証券、バークレイズ証券を経て2013年8月から現職。日本国債市場での経験は通算で20年超。グローバルな経済、財政政策の分析などマクロ的アプローチに特色。(撮影:大澤 誠)

近々誕生する新首相、新内閣の最初の大きな仕事は経済対策の策定になりそうである。「30兆円」という数値も取り沙汰されているが、2020年度の3回の補正予算に巨額の使い残しが発生している。財政政策の効率性について、改めて議論すべき局面なのではないか。

財政政策の効率性というと、個々の施策の政策効果はもちろん重要だが、マクロ的な観点からは、経済対策規模に占める「真水」の比率にまず注目が集まる。公共投資など政府が直接投資や消費を行う部分が「真水」である。それが家計や企業の支出行動を通じて発現する乗数効果の多寡も、GDP(国内総生産)への寄与という点で重視される。

しかし、昨年度の3回の経済対策では、各種の給付金や資金繰り支援など、政府が直接投資や消費を行わない財政支出が実に70%近くを占めていた。それらの資金を家計や企業が退蔵してしまえば、個人消費や設備投資を通じてGDPを押し上げる効果はゼロになる。