記者会見に臨む佐川急便の本村社長(左)と日本郵便の衣川社長(写真:編集部撮影)

EC(ネット通販)荷物を囲い込もうと猛攻勢をかける業界首位に対抗すべく、宅配大手2社が連携強化に踏み切った。

9月10日、宅配業界2位の佐川急便・本村正秀社長と3位の日本郵便・衣川和秀社長が記者会見し、小型荷物の宅配やクール便の取り扱いなどでの協業に基本合意したと発表した。日本郵便の衣川社長は「競争分野を残しつつも、足りない部分を相互補完し、安定した物流サービスを提供していきたい」と語った。

両社は2004年ごろからメール便の分野で提携していたが、今回の協業によって領域が広がる。まず2022年1月以降をメドに、日本郵便が取り扱うクール便の配送の一部が佐川に委託される。これまで日本郵便は「大口顧客のクール便のニーズに対応しきれずにいた」(日本郵便の衣川社長)が、佐川の配送網を活用することで、投資コストを抑えつつもクール便を強化できるというわけだ。

佐川も日本郵便のサービスを取り扱うことで商品ラインナップを拡充する構えだ。2021年10月以降をメドに国際スピード郵便(EMS)、同年11月以降に投函可能な小型荷物の「ゆうパケット」を取り扱い始めるが、配送は日本郵便に委託する。いずれも成長が期待されるEC物流において需要が見込めるサービスだ。

日本郵便が佐川にアプローチ

今回の協業は、日本郵便からのアプローチをきっかけに検討が始まった。佐川の本村社長は「2021年初めごろに、クール便の配送を委託できないかと依頼があり、そこから今回の協業へと発展した」と話す。

だが、事情に詳しい業界関係者は「協業に積極的だったのはむしろ佐川だ。弱点である小型荷物を日本郵便に委託しつつ、EC荷物を獲得したいのだろう」と明かす。