中央銀行を魅了した「清滝理論」の核心 独占インタビュー②金融危機で思い立つ

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 5
拡大
縮小
清滝氏がニューヨーク連銀の研究者と共同で書いた論文。(編集部撮影)

特集「リーマン危機から世界を“救った”男」の他の記事を読む

2007年夏ごろからアメリカで始まったサブプライムローン危機。この状況を見た清滝氏は、「自分たちの論文で説明できる」と考えたという。
清滝氏らの理論とFRB(アメリカ連邦準備制度理事会)の政策はいかに結びき、融合していったのか。当時の状況を清滝氏が詳細に語った。

 

――清滝=モーアモデルが発表される少し前、ベン・バーナンキ(FRB元議長)やマーク・ガートラーも負債・デフレーションに関する有名な論文を発表しているそうですが、違いは何ですか。

バーナンキとガートラーの場合は、投資主体のバランスシートは過去に依存するというところを強調し、増幅作用を議論している。僕らの論文はそれに加えて、資産価格と担保の関係、負債のテコ作用、将来の期待を考慮したところが貢献だ(清滝=モーアモデルの詳細はインタビュー第1回)。

【ワンポイント解説】

ベン・バーナンキ

1953年生まれ。アメリカのマクロ経済学者で、リーマンショックをはさむ2006年〜2014年にFRB議長を務めた。アメリカ大恐慌や金融危機の研究で有名。

――清滝さんは、FRBの政策との関係でも有名です。どのような経緯で接点ができたのでしょうか。

「清滝=モーアモデル」では、金融と実物経済との相互関係がカギだという思いがあった。その後、さらに流動性や景気循環、金融政策に関連する論文も発表した。

これは、金融資産の流動性に着目した研究で、2007年〜2008年にかけての世界金融恐慌(いわゆるサブプライムローン危機からリーマンショックに至る世界的な金融危機)のとき、FRBの政策に結びついた。

――どのような内容だったのでしょうか?

次ページサブプライムローン危機は説明できる
関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内