金融庁が第一生命に立ち入り検査に入っていることが判明した(撮影:梅谷秀司)

金融庁が8月末から第一生命保険に立ち入り検査に入っていることがわかった。検査では、昨秋に表面化した元営業職員による19億円の金銭詐取事件を受けて、再発防止策などの取り組み状況を主に確認しているとみられる。

同事件は第一生命だけでなく、大手をはじめとした生命保険会社における営業や、職員の管理態勢のあり方を問い直す契機になった。それだけに検査の真の目的や、金融庁の意向についてさまざまな観測が広がるなど、業界がさざ波立っている。

そもそも巨額の金銭詐取事件はなぜ起こったのか。その経緯を改めて振り返ってみる。

トップの営業職員をあがめる企業風土

「特別調査役として特別な特権・権限が与えられた。私にお金を預けたほうがよい」。当時、山口県周南市の西日本マーケット統括部徳山分室で、特別調査役という同社唯一の肩書を持つ高齢の営業職員(89)は、複数の顧客に「高金利で運用できる『特別枠』がある」などと持ちかけ、数千万円単位の金銭を各顧客から詐取していた。

第一生命の調査では、犯行は少なくとも2002年から2020年まで18年近くにわたって続いていたといい、被害を受けた顧客は判明しているだけで24人に上る。