北海道函館市にある「函館 蔦屋書店」。代官山の店舗とは異なる光景が広がる(記者撮影)

出版不況の中、革命児の勢いが止まらない。

「TSUTAYA」などを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は2020年、国内書籍・雑誌販売額が1427億円と、過去最高を更新した。

紙の出版全体の市場規模(推定販売金額)は16年連続で縮小し、2020年は1兆2237億円とピーク時の半分にも満たない。一方、CCCの販売額は20年足らずで約4倍に成長。今や丸善CHIホールディングスや紀伊國屋などをしのぎ、書店最大手に躍り出ている。

CCCの書店展開において、TSUTAYA以上に存在感を示すのが「蔦屋書店」だ。TSUTAYAが販売やレンタルで取り扱ってきた書籍やDVD、CDなどに加えて、深夜まで営業しているラウンジやカフェチェーンの「スターバックス」、旅行代理店のカウンターなどを兼ね備えた複合施設である。

2021年9月時点で、同業態は北海道から九州まで、国内に19店を構える。これを目標として掲げる100店まで拡大するうえで、店舗の雛型となっているのが、2021年12月に開業10周年を迎える1号店の「代官山 蔦屋書店」(東京都渋谷区)だ。

代官山の店舗は、敷地内で植物を豊富に配置するなど、自然と融合した居心地のよい作りとなっている。そこで並んでいるのが、文学や音楽、料理、旅、車などさまざまな分野への造詣が深い「コンシェルジュ」が選別した本の数々だ。

1日当たりの通行量が約1500人だった立地において、開業後にはコロナ前の平日で約1万人が押し寄せる地域の目玉施設になった。

しかし、CCCの蔦屋書店カンパニーで社長を務める梅谷知宏氏が、今後の蔦屋書店の店舗戦略で重視するのは、意外にもこの代官山の店舗ではない。