世界を震撼させた同時多発テロから20年が経った(Ruth Fremson/The New York Times)

9.11テロから20年経ち、米軍はアフガニスタンから撤退、同国ではタリバン政権が復活し、結局は振り出しに戻ったような徒労感だ。いや、この間9.11のようなテロ事件の再発は防げたという反論はある。だが、それは米国に限っての話だ。

この20年、世界では大規模なイスラム過激派テロは何度も繰り返された。9.11以降に世界85カ国で展開された対テロ戦争が引き金になり、3700万人の難民が生じた。ハイテク戦争で米兵の死者こそ約7000人に限定されたが、民間人も含め80万人が死んだ(米ブラウン大学まとめ)。

その結果、米国の世界的威信と指導力は低下。並行して、トランプ現象に象徴されるように米社会は混迷に陥った。アフガン撤退は、むしろそうした社会の混迷の結果といえる。米国民はもはや「世界的威信や指導力」など、どうでもよくなった。そうなった思想的背景は何だったのか。