中国政府はIT企業への介入を強めている。タクシー配車アプリの「滴滴出行」もその対象になった(AP/アフロ)

中国では、昨年以降、アリババグループをはじめとするプラットフォーマーに対する処分や規制強化が次々と打ち出されている。さらに今年7月には、小中学生向けの学習塾を規制する方針も示された。

一連の動きについて政府が市場経済重視から経済統制に転換したといった見方があるが、そうした見方は正しくないと考える。規制強化の趣旨は個別の産業、企業によって、さまざまだからである。ただし、一連の規制強化に共通する1つの政策的背景があるとすれば、それは習近平総書記が推進する「共同富裕」であろう。

プラットフォーマーがその独占的、優越的な地位を利用して、消費者の利益や配送スタッフの処遇を犠牲に利潤を拡大してきたことを、政府は共同富裕の観点から問題視した。また、学習塾への規制は、商業主義が教育費の高騰を生んだとして、非営利団体化させることで教育の機会を幅広い層に与えようという趣旨である。共同富裕は中国の今後の公共政策を理解するうえで、最も重要なキーワードの1つになりつつある。