SBIソーシャルレンディングが放置した問題 社内の諫言でも融資は続けられた

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「熱海SDGsホテル」の建設予定地には草木が生い茂っていた。写真は8月上旬(記者撮影)
「あの詐欺師によってたくさんの被害者が出たが、最大の被害者がわれわれだった」。SBIホールディングスの北尾吉孝社長は、太陽光ベンチャー・テクノシステム(テクノ)の生田尚之社長をこう批判する。
第三者委員会による調査報告書からは、テクノのずさんな経営実態だけでなく、異変に気づきながらテクノをつかんで離そうとしなかったSBIソーシャルレンディングの姿も浮かび上がる。
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静岡県熱海市。太平洋を望む住宅街の一角に、不自然な空き地がある。

ここに「熱海SDGsホテル」を建設する計画が持ち上がったのは2019年夏のことだった。屋上に太陽光パネルを敷設し、持続可能な社会を意識したホテルを建設するプロジェクトを立ち上げたのはテクノで、そのための資金を投資家から集めたのがSBISLだった。

2019年7月と11 月に組成されたファンドの名称はSBISL不動産ディベロッパーズファンドの16号と18号 。投資家に示されたプロジェクト概要には「借手が静岡県熱海市で行うリゾートホテル開発のための、土地の購入及び建築プロジェクト資金の一部」とある。事業者への貸付金利は9.5%。そのうち1.5% がSBISLの手数料となるため投資家向け利回りは8%だった。

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