児童手当の特例給付について、2022年10月支給分から一部廃止となる。児童手当とは、「次代の社会を担う児童の健やかな成長に資すること」を目的とする現金給付で、対象は生後から中学校修了までの子どものいる世帯だ。支給額は子どもの人数や年齢で変化するが、1カ月当たりおよそ1万〜1万5000円が、4カ月分まとめて支給される。

特例給付とは、主たる生計維持者の年間所得が所得制限額(960万円ほど)を上回る場合に1カ月当たり一律5000円が支給されるものだ。22年10月からの支給廃止の対象は、所得制限額を上回る1200万円以上の世帯である。

特例給付廃止の背景には、厳しい財政状況の下で、子どものための予算をどのように配分すべきかという論点がある。厚生労働省の「平成24年児童手当の使途等に係る調査」では、「貯蓄を含む子育て費用に充てている」という回答が全体の約6割、世帯所得が高いほど「使う必要がなく残っている」の比率が高くなる。政府は、特例給付廃止の影響を受ける児童は約4%で、財政効果は370億円と試算。その財源は保育園の整備などに充当するという。

経済学では、児童に対する現金給付を「条件付き現金給付」あるいは「無条件の現金給付」という枠組みで考察してきた。条件付き現金給付とは、子どもを通学させることなどを条件とする給付で、主として途上国で用いられる政策手段である。こうした条件を課していない日本の児童手当は、無条件の現金給付といえる。

現金給付施策を評価するには、世帯所得の増加が、子どものための支出や子どもの成長に寄与したかどうかが重要だが、その影響は自明ではない。児童手当は家計の予算を増やすが、家計がどのようにお金を使うかはわからない。お金に色はないからである。