香港に本社を置く投資ファンド、タイボーン・キャピタル・マネジメントで日本株投資責任者を務める持田昌幸氏(提供:タイボーン・キャピタル・マネジメント)
ベンチャー企業の資金調達が大型化の一途をたどっている。調査会社INITIALによれば、2020年の1社当たりの資金調達額は約3.3億円。この5年で2倍以上に増えた。
とりわけ目立つのが、レイターステージ(株式上場が視野に入った成熟期)のベンチャーによる大型調達だ。人事労務クラウドのSmartHR(スマートHR)は2021年6月に156億円もの調達を発表、今年の資金調達額でトップに躍り出た。さらに後払い決済サービスのPaidy(ペイディ)は2021年3月に131億円の調達を発表している。
この2社に共通するのは、海外の「クロスオーバー投資家」と呼ばれる、上場企業と未上場企業の両方に投資するファンドが資金の出し手になっていることだ。近年はこうしたファンドが有望な企業との関係を早期に深めるべく、未上場ベンチャーに投資する動きが活発になっている。
ベンチャー側にも、こうした投資家に頼りたい事情がある。売上高の拡大を優先し先行的に人件費や宣伝費をつぎ込むと、創業から一定期間の赤字を余儀なくされる場合が多い。上場後の株価を安定させるためには、短期の利益を求める個人投資家より中長期の成長を重視する投資家に伴走してもらいたい――。それを見越して、上場前から投資を受けようとするベンチャーが増えている。
海外のクロスオーバー投資家は今、日本のベンチャー市場をどう見ているのか。香港に本社を置く投資ファンド、タイボーン・キャピタル・マネジメントで日本株投資責任者を務める持田昌幸氏に話を聞いた。

上場の数年前から20億~100億円規模を投資

――海外では上場、未上場の両方に投資するファンドが増えています。

タイボーンはもともとアジアやアメリカを中心に世界中の上場株に投資しており、運用総額は1兆円弱。香港に本社を置き、サンフランシスコ、ロンドン、シンガポール、そして東京に拠点がある。

投資チームは10人強。私は唯一の日本人で日本株と韓国株を見ている。投資先の数を絞っているため、ビジネスモデルや事業の進捗をしっかり調べ、(取引先など)ステークホルダーにもインタビューしながら投資を決めている。保有期間は5~10年と長い。