仁義なき戦い 菅原文太伝(松田美智子 著/新潮社/1870円/304ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
[Profile] まつだ・みちこ 山口県生まれ。金子信雄主宰の劇団で松田優作と出会い結婚。1子をもうけて離婚。その後、シナリオライター、ノンフィクション作家、小説家として活躍。『天国のスープ』『女子高校生誘拐飼育事件』『福田和子はなぜ男を魅了するのか』など著書多数。

不器用で一本気。昭和の日本映画界を支えた俳優、菅原文太の印象を聞かれたらこう答える人は多いのではないか。

1973年、菅原が39歳のときに1作目が公開された代表作『仁義なき戦い』シリーズでのアウトローでありながらも筋を通すヤクザ役や、広島弁で語りかけるCMでの頑固親父の印象が強い。

本書は菅原の生前の発言、俳優仲間や関係者の証言を積み上げ、「人間・菅原文太」を浮かび上がらせた労作だ。

菅原は90年代に「理想の父親」のアンケートで1位になるなど、世代を超えて親しまれた。だが、同じくヤクザ映画のスターだった高倉健に比べると菅原に焦点を当てた書籍は少ない。それは、菅原のつかみどころのなさが関係しているのかもしれない。