コロナ禍の真っただ中にあった2020年6月に開業したルルレモン六本木店の店内。日本法人のオフィスも併設する(記者撮影)

「新しいウェルネスを始めよう」――。

今年6月、そんなスローガンとともにオンライン上で大規模なイベントが開かれた。6月1日から6月21日までの3週間に開催されたクラスは、ヨガやストレッチなどのトレーニング、健康をテーマにしたトークショーなど35にのぼる。

フィットネスクラブやスポーツジムの運営会社が企画したのかと思いきや、そうではない。主催者は、カナダ発の衣料品ブランド「lululemon(ルルレモン)」を運営するルルレモン・アスレティカの日本法人。アウトレットを含めて、国内7店舗を展開している。

1998年に創業したルルレモンはヨガウェアを筆頭に、吸汗性とストレッチ性を備えた、日常使いもできるトレーニングウェアが強み。前2021年1月期のグローバルの売上高は約4842億円(前期比10.6%増)、営業利益は約901億円(同7.7%減)という規模を誇る。コロナ禍で世界各地の店舗が休業を強いられたものの、増収を維持した。

コロナ禍で「勢いが後押し」

堅調な業績を背景に株価も上昇が続き、足元の時価総額は約5.8兆円に達する。同じアパレル大手のアメリカのGAP(約1.2兆円)やスウェーデンのH&M(約3.7兆円)を大きく上回る水準だ。

同社の特徴は、商品を売ることよりも、顧客同士や販売スタッフとのコミュニケーションに重きを置く点にある。現に、延べ7500人以上が参加登録を行った6月のイベントも、ほとんどが参加無料だった。一見奇をてらったマーケティング手法だが、2020年6月の六本木店の開店やEC(ネット通販)拡大が寄与し、日本法人の前年度業績も増収だったもようだ。

「日本ではスポーツをする習慣はそう多くないが、コロナになってから多くの人が心身ともに健康であることが大事だと気付いた。そのことが、コロナ禍でのブランドの勢いを後押ししていると感じる」。ルルレモン・アスレティカ日本法人社長のスチュアート・テューダー氏は、そう語る。

日本では顧客の約7割が女性だが、最近は男性向けの売り上げも伸びているという。主力のレギンスパンツの価格は1.5万円前後と、決して安くない。ユニクロの中堅社員も「あの価格帯で伸び続けているのは驚きだ」と語るほど、支持を広げている秘訣は何なのか。透ける強みは、顧客とコミュニケーションを重ねて築き上げた、「コミュニティ」から稼ぐ力だ。