パナソニックの樋口専務は、ブルーヨンダー買収によって「もう一度(パナソニックを)グローバルに通用する企業にする」と語った(撮影:ヒラオカスタジオ)
71億ドル(約7800億円)でサプライチェーン効率化を手がけるアメリカのソフトウェア企業、ブルーヨンダーの買収に踏み切ったパナソニック。買収を主導したのが、樋口泰行代表取締役専務だ。
パナソニックの法人向けシステム事業を担うコネクティッドソリューションズ(CNS)社を率いる樋口氏は、新卒で入社した松下電器産業(現パナソニック)を一度退社。日本マイクロソフト会長などを務めた後に、古巣に復帰した異色の経歴を持つ。大胆な買収に懸けた経緯と狙いについて、樋口専務に聞いた。

過去の買収では「傲慢」だった

――ブルーヨンダーとは2019年に業務提携を結び、2020年に同社株を20%取得して協業関係を築いてきました。提携や出資を通じ、すでにパナソニック社内で変化は起きていますか。

私自身、日本マイクロソフトなど外資企業を経験して、いかに日本企業の経営において近代化が遅れているかを感じてきた。例えば、日本ではついこの間までクラウドを使うという概念すらなかった。

ブルーヨンダーがパナソニックのファミリーになることで、彼らから学び、刺激を受けて(全社が)キャッチアップしていこうとする。パナソニック全体を変革するためのテコとして大きい要素だ。

売り方でも、ブルーヨンダーはパイプライン管理(営業活動の流れを可視化して分析・改善をする手法)などを取り入れ、営業を科学している。社内情報のシェアのあり方や組織のアカウンタビリティ(説明責任)の設定の仕方など、すべてにおいて先を行っている。(パナソニックは)もっと勉強しないといけない。

――一方でパナソニックはこれまで、数々の巨額買収で成果を出せずに終わっています。例えば1990年代の映画大手MCA(現NBCユニバーサル)の買収では、自社商品のハードウェアを売るためにコンテンツを活用することを優先した結果、シナジーを出せませんでした。

MCA買収当時のパナソニック(当時松下電器産業)は傲慢で、われわれが(本社のある)大阪・門真から世界を動かしていると当時の私も勘違いしていた。