アンドパッドの稲田武夫社長(右)と植野大輔上級執行役員CMO。植野氏はファミリーマートのスマートフォン決済「ファミペイ」の立ち上げ指揮を執った人物(提供:アンドパッド)

「あの植野大輔さんがアンドパッドに移ったと聞いたが、本当なのか」

今年初め、小売業や建設業の関係者がざわついた。植野氏は、ファミリーマートでデジタル戦略部長としてスマートフォン決済「ファミペイ」の立ち上げ指揮を執った人物として知られる。その‟大物”が2021年1月、建設プロジェクト管理アプリ「ANDPAD」を展開するアンドパッドの上級執行役員CMO(マーケティング責任者)に就任したのだ。

三菱商事やボストンコンサルティンググループ、そしてファミリーマートを経た植野氏は、2020年3月に独立し、DX(デジタルトランスフォーメーション)支援企業を立ち上げたばかりだった。

稲田社長「僕はもう、決めていますから」

そんな折、アンドパッドにも出資するグロービスキャピタルパートナーズの紹介により、植野氏は2020年6月に同社幹部と、同8月にアンドパッドの役員と、そして同9月にアンドパッドの稲田武夫社長と相次いで接触。アンドパッドの経営に参画してほしいというラブコールを受けた。

独立直後の植野氏だ。当初、アンドパッドへの参画に乗り気ではなかった。ただ、稲田社長などから、非効率な作業が目立つ建設業界におけるDXの必要性を熱心に語られ、次第に心が揺れた。建設業こそ自身の経験や知見を生かせる領域なのではないか、変革の覚悟を持つ経営者を支えられないか……。

「小売り業界も確かにデジタル化は遅れていたが、建設業界は改善の余地がさらに大きい。(独立して身を呈したいと考えていた)産業DXにつながる話だと思った」(植野氏)。最後は稲田社長の、「僕はもう、(植野氏に加わってもらうことを)決めていますから」との落とし文句で、腹を決めた。

その後の植野氏の動きは早く、2020年10月には入社を決意、11月からは入社を待たず、業務委託で事業に参画した。植野氏は現在、上級執行役員としてブランディングやセールスマーケティング、広報などの分野を管掌する。「何より組織づくりが肝。まずはマーケティングや広報の即戦力の採用に注力している」(植野氏)という。