帰還兵の戦争が終わるとき 歩き続けたアメリカ大陸2700マイル(トム・ヴォス、レベッカ・アン・グエン 著/木村千里 訳/草思社/2200円/330ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
[Profile] Tom Voss 2003年から3年間、米陸軍で現役勤務。陸軍初のストライカー歩兵旅団の1つに所属。
Rebecca Anne Nguyen トムの姉。ノースカロライナ州シャーロットを拠点として活動する作家。

帰還兵、復員軍人の精神面の問題は古くて新しいテーマだ。戦中、戦後は日本でも問題視されたし、現代ではイラクに派遣された自衛官の中にもPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症し苦しんでいる人たちがいる。

9.11米国同時多発テロ事件以降、10年以上にわたりアフガニスタン、イラクとの非対称戦争を行ってきた米国には、かなりの数の帰還兵、復員軍人が存在する。そして彼らの多くがPTSDなどの精神疾患を抱えているのだ。

米国では戦争従軍者の精神面のケア不足が社会問題となっている。この問題に関する書籍としては『帰還兵はなぜ自殺するのか』という名著が日本語に翻訳されている。

本書も彼ら帰還兵の問題を扱ったものだ。ただ、復員軍人当人の著作である点が前述の本との違いだろう。

著者トム・ヴォスは代々奉仕家の家系に生まれた。父母も祖父母も社会貢献を旨とした。トムは、陸軍に入隊し国に貢献することが、それに続く道だと思ったという。