失敗は学習、恐れるな 社会はチャレンジを許容して マネーフォワードCEO 辻 庸介氏に聞く

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つじ・ようすけ 1976年生まれ。2001年京都大学農学部卒業後、ソニー入社。04年マネックス証券に出向、同社の留学制度第1号で米ペンシルベニア大学ウォートン校MBA修了。12年マネーフォワードを設立し、17年東証マザーズに上場。21年6月1部に指定替え。
失敗を語ろう。「わからないことだらけ」を突き進んだ僕らが学んだこと
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大企業勤務を経て、米国の名門大学でMBA(経営学修士)を取得。帰国後は日本人の金融資産を解放すると意気込み起業したものの、しばらくは鳴かず飛ばず……。「起業家もただの人間」という思いから、創業メンバーの離脱や競合による提訴まで、あえて自らの失敗をさらけ出す。

創業メンバーの離脱や訴訟 起業のドロドロ包み隠さず

──「黒歴史」が並んでいます。

留学中に起業家の話を直接聞く授業があって、ベンチャーには想像をはるかに超える、ドロドロした人間関係や葛藤があると知りました。逆に人間くささを知ることで、「あの人でもできるのか」と。等身大の起業家たちを身近に感じられたことが、自分のマインドに与えた影響としては大きかった。自分もこれからチャレンジする人に、失敗を知ってもらいたいと思いました。

コロナ禍で日本の社会システムに行き詰まりを感じたことも、執筆の動機になりました。緊急事態宣言の強制力だったり、病床の拡充だったり、思い切った決断が必要なときに日本はデメリットばかりを見る傾向がある。失敗は悪いことではなくつねにラーニング(学習)なので、チャレンジが許容される社会であってほしいという願いも込めています。

──最もつらかったことは?

2017年9月の株式上場から間もないタイミングで、創業メンバーが抜けたことです。あれはきつかった。退社の意志を告げられた日は箱根の宿で休みを取っていたのですが、ショックで一睡もできませんでした。彼は創業メンバーでは僕に次ぐ株式を保有していて、期待していましたから。

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