NY市長候補のアダムズ氏。コロナ禍による失業や中心部での人通り減などから全米で犯罪率が上昇(Andrew Seng/The New York Times)

警察官によるジョージ・フロイドさん窒息死事件に抗議するブラック・ライブズ・マター(BLM)運動が大きく盛り上がって1年余り。運動への市民の支持は下がり、事件前のレベルに戻った。他方で、一時は「予算を減らせ」という抗議の声を受けた警察への支持は上がっている。背景は、都市部における犯罪・治安への市民の懸念だ。警察への予算配分はわずかながら上昇している。

その背後の市民の心理を映し出したのは、ニューヨーク市長選挙の民主党候補選びだ。治安維持が争点となる中、元警察官で黒人のエリック・アダムズ氏が6月の投票で僅差ながら勝利した。同市では民主党が圧倒的に強いことから、秋に市長に選ばれるのは確実とみられ、史上2人目の黒人ニューヨーク市長が誕生する見込みだ。

アダムズ氏は、エリート層が多いマンハッタンの民主党員ではなく下町の黒人や中南米系の労働者らの強力な支持を受けて勝利した。白人労働者らからも支持された。勝利が決まった後すぐに全国向けのテレビ番組で、警察官増強による治安強化を訴えている。