セイコーエプソンの久保田孝一専務執行役員は「学校や病院向けにインクジェット複合機の販売が伸びている」と語る(セイコーエプソン提供)
ペーパーレス化で縮小が続く複合機市場。2020年はコロナ禍が追い打ちをかけ、国内メーカーの複写機・複合機の世界出荷額は前年比22%減の6547億円に沈んだ。
ところが、2017年にこの市場に新規参入した企業がある。現在インクジェットプリンターで世界トップシェアを誇るセイコーエプソンだ。
複合機市場ではレーザー方式というトナー(粉状の色材)を熱と圧力で紙に定着させ、印刷するタイプが主流。一方、セイコーエプソンはインクジェット技術を用いた複合機で勝負を懸ける。
ただ、セイコーエプソンの複合機シェアはまだ数%にすぎない。売り上げをどう伸ばすのか。プリンター事業を担当する同社の久保田孝一専務執行役員に聞いた。

学校で広がるインクジェットの裾野

――コロナ禍でもインクジェット複合機の販売を伸ばしました。

2021年3月期は販売台数で2桁成長を達成できた。インクジェット複合機は、熱を使わないため消費電力が少なく、環境性能が高い。また、レーザー複合機に比べて部品点数が少なく、定期的に交換する部品が少ない。

保守・点検にかかる時間が短くて済む。顧客にとっては稼働時間が長くなるため、競合他社の複合機に比べて生産性が向上する。こうした強みが市場に認められるようになったからこそ販売が伸びたと考えている。

――学校など文教市場向けに今年はすでに1000台以上導入されるなど販売が好調です。

もともとはプロジェクターの販売を通じて学校との関係を深めてきた。当社が高いシェアを誇るプロジェクターのビジネスは、その多くが文教向けだ。営業ルートや顧客からの信頼も確立されている文教市場であればインクジェット複合機を拡販しやすい。