海がやってくる 気候変動によってアメリカ沿岸部では何が起きているのか(エリザベス・ラッシュ 著/佐々木夏子 訳/河出書房新社/2915円/336ページ)書影をクリックするとamazonのサイトにジャンプします。
[Profile] Elizabeth Rush ノンフィクション作家・写真家。米リード大学で英文学士号、サザンニューハンプシャー大学で美術学修士号を取得。現在はブラウン大学英文学部客員講師。「ニューヨーク・タイムズ」、「アル・ジャジーラ」などに寄稿。

長靴の形をしているのはイタリアだけではない。米国のルイジアナ州もそうである。だが、現在のルイジアナ州の「靴底」はボロボロに破れ擦り切れている。靴底にあたる地域にはかつて広大な湿地帯があったが、海に変わってしまったのだ。

同州では1932年から2000年までの間に約4920平方キロメートルが失われたという(これは福岡県の面積約4987平方キロメートルに匹敵する)。ここは地球上で最も急速に浸食が進む地域の1つである。

ダム開発による河口の堆積物の減少、石油掘削による地盤沈下、気候変動による海面上昇など、原因は複合的で1つに絞ることはできない。だが確かなこともある。失われたものはもう二度と元には戻らないということだ。