日本銀行は昨年の春以来、「新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム」など、コロナ禍での経済活動を支えるための強力な金融緩和措置を講じている。

6月18日の金融政策決定会合では、9月末までと予定されていた特別プログラムの6カ月延長が決定。金融政策への関心はより一層高まっている。本稿では、金融政策運営について、マクロ経済学者の視点で改めて考えてみたい。

中央銀行が金融政策を行う際に重視すべきものは何だろうか。日本銀行法第2条には、日本銀行は「物価の安定」を通じて「国民経済の健全な発展に資する」とある。また、米国の中央銀行制度である連邦準備制度では、「物価の安定」と「雇用の最大化」の2つが、いわゆるデュアルマンデートとして金融政策の使命とされている。

マクロ経済学の世界では、金融政策をモデル化する際に、「テイラールール」と呼ばれるものが標準的に使用される。まず、伝統的な金融政策では、中央銀行は政策金利の調整を通じてマクロ経済に影響を与えると考えられてきた。そして、テイラールールによると、政策金利はインフレ率(物価の変化率)とGDP(国内総生産)ギャップ(景気の状況)に応じて設定される。

マクロ経済学者がテイラールールを用いる理由には、このルールがある条件下で望ましい政策として導出されるという理論的背景や実際の政策金利の変動をうまく説明できることなどが挙げられる。同時に、先に挙げた金融政策の使命である物価の安定と経済の発展(あるいは雇用の最大化)とも整合的な点は興味深い。