スイスのジュネーブで6月16日に行われた米国のバイデン大統領とロシアのプーチン大統領の会談によって、ソ連崩壊後、最悪だった米ロ関係は改善に向けて動き始めた。両首脳は、互いに「この線を越えたら反撃する」という「レッドライン」を定めて、ゲームのルールを明確にした。〈昨年12月の米政府機関に対する攻撃など、米国ではロシア情報機関の関与が疑われるサイバー攻撃が相次いできた。ただ、最近では民間のハッカー集団によるとみられるランサムウェア(身代金ウイルス)攻撃の被害が欧米で急増。会談ではランサムウェアを念頭にした対策が話し合われた。バイデン氏は攻撃を受けてはならない「特定の重要インフラ」としてエネルギーや水道システムなど16件を具体的にリストとして提示。米ロ両国の専門家が対策を協議することで合意したという。/背景には、ロシアに拠点を持つハッカー集団への対処を迫りたい米国の強い思惑がある。ただ、対策の協議がどれだけ実効性を伴うかは見通せない〉(6月17日「朝日新聞デジタル」)。

しかし、サイバー対策での米ロ協力はうまくいっていない。そのため7月9日、両首脳は電話会談を行った。この会談の内容についてロシア政府が事実上運営するウェブサイト「スプートニク」はこう報じた。

〈ジョー・バイデン米大統領は9日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と電話会談を行い、サイバーセキュリティ問題について接触をとり続けたいと述べた。一方、ロシアに対する報復措置を辞さない構えも見せた。米政府高官が明らかにした。/米国は、米IT企業「カセヤ」へのサイバー攻撃や、ロシアにあるとされるハッカー集団から少なくとも200の米国企業が攻撃を受けたことについて、ロシア側にサイバー犯罪集団の摘発を求めた。/一方、ロシア政府は、サイバー空間での犯罪を共同で阻止する用意ができているとしていたものの、過去1か月間、これらの問題について米国からの報告は受けていないと述べた〉(7月10日「スプートニク」日本語版)