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親の生前は仲のよかった家族でも、死後に「遺産相続トラブル」を起こすケースは多い。よくあるトラブルの3例を基に相続対策の方法を確認したい。

ケース1|遺言書の有無

田辺光子さん(60代・仮名)は結婚以来、夫の両親と同居してきました。夫は弟と妹の3人兄弟姉妹です。先日90歳の義母が亡くなり遺産相続の話になりました。田辺さんは長男の妻として義父母を献身的に介護してきました。

義理の弟も義理の妹も家を出て自分の家庭を持ち、実家に顔を出すこともなく、介護の負担は田辺さん夫婦に降りかかる状態でした。田辺さんや夫は「自分たちが親の世話をしてきたから、ほかの兄弟姉妹より多くの遺産をもらえるはず」と考えていました。

ところが義母の死後、夫の弟と妹は、「3分の1の法定相続分があるから遺産は3分の1ずつ渡してほしい」と言ってきたのです。

「これまで居住してきた実家の土地・建物くらいは私たちが受け継いでもよいだろう」と田辺さんが提案すると、「家が欲しいなら代償金を払ってほしい。払わないなら家を売って現金で分配すべき」と、弟や妹から言われてしまったのです。そんなことになったら、田辺さん夫婦は、住む家がなくなってしまいます。

弁護士に相談すると、「献身的に介護した相続人(田辺さんの夫)には『寄与分』が認められるので、ほかの相続人よりも多くの遺産を受け取れる。田辺さん本人は相続人ではないが、相続人へ『特別寄与料』という分のお金を請求できる」と、アドバイスしてもらえました。