にしかわ・ひろのり 1958年生まれ。82年慶応義塾大学卒業後、東急不動産入社。リゾート・管理畑を歩む。2014年取締役専務執行役員、17年東急不動産ホールディングス取締役執行役員などを経て20年から現職。(撮影:梅谷秀司)
ホテル・商業施設が多く、コロナ禍の打撃が不動産大手の中で比較的大きかった東急不動産ホールディングス(HD)。5月に発表した2030年度までの長期ビジョンでは、環境・DX(デジタルトランスフォーメーション)への投資と、既存事業の再構築を掲げた。その狙いを西川弘典社長に聞いた。

再エネ事業への累積投資額(2021年3月末時点)

太陽光や風力を中心に、不動産業界で屈指の額を投じてきた。今後は発電施設の売却による再投資も視野に入れる。

──長期ビジョンのスローガンを「ウィー・アー・グリーン」としたのはなぜですか。

グリーン(緑色)は当社のコーポレートカラーだ。今後、環境経営を一段と強化していくという宣言でもある。環境保全の基本理念を1998年に策定するなど、当社はもともと環境への意識が高い。

14年には太陽光発電事業に参入した。風力発電施設も稼働させている。再生可能エネルギーの発電容量は、現在開発中の案件も含め、すでに原子力発電所1基分以上になっている。今後は洋上風力など新たな電源にも取り組む。発電施設はビルのような空室リスクがなく、投資効率もビルと遜色ない。

再エネの電源開発には一日の長がある。かつて、リゾート施設や郊外団地の開発に力を入れていたとき、農村部や自然保護区域での許認可取得や権利調整などを経験した。これらのノウハウが再エネの開発で生きている。

省エネ仕様のビルの開発や、都市の緑化も進める。「新目黒東急ビル」は、屋上への庭園配置など設計段階から緑化を意識した。投資額はかさむが物件の競争力に寄与する。テナントとして入居する企業にしてみれば、環境に配慮したビルにオフィスを構えることはイメージの向上につながる。