三井住友FGが始める「広告事業」の重要な意味 電通グループと共同で新会社を設立

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三井住友FGは電通グループと新会社を設立した(写真左:編集部撮影、右:今井康一)

「現在、みなさんがイメージしている銀行とは違う形になるし、それにこだわる必要はまったくない」。三井住友フィナンシャルグループ(FG)の太田純社長がそう述べてきた将来の「銀行像」の一端が見えてきた。

7月8日、三井住友FGは電通グループと共同で新会社「SMBCデジタルマーケティング」(出資比率は三井住友FG66%、電通グループ34%)を設立し、広告・マーケティング事業に参入すると発表した。

三井住友銀行が持つ顧客の属性や利用履歴などの情報を基に、三井住友銀行アプリなどに広告を配信する。例えば、結婚をした人に対してマイホーム・家具の広告を表示したり、シニア層に対して旅行プランの広告を表示したりする。

三井住友が持つ保険やカードのようなサービスだけでなく、三井住友や電通の顧客からも広告を募って広告収入を得るのが狙いだ。これまで、金利や手数料が収益源だった銀行にとってまったく畑が違う。早期にビジネスを展開するため、業界最大手の電通グループと手を組んだ。サービス開始に当たり、プライバシーポリシーの改定を8月10日に予定している。

近年、決済プラットフォーム事業や電子契約サービスなど、三井住友FGはさまざまな分野で新会社を設立してきた。太田社長の就任以降、すでに5社の新会社を設立している。これらは新しい銀行像を実現するための取り組みだが、今回の広告事業は少し重みが違うだろう。

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