たかい・ひろゆき 神戸大学経営学部卒業、住友商事入社。英国ロンドンで、貴金属や銅・アルミなどの取引を担当。金融事業本部長、エネルギー本部長を経て、2013年住友商事グローバルリサーチ社長、18年同社ワシントン事務所長。20年7月から欧州エネルギー取引所グループ上席アドバイザーに転じる。(撮影:梅谷秀司)

欧州の温室効果ガス排出権の取引を行う市場では騰勢が止まらない。直近でCO2(二酸化炭素)1トン当たり57ユーロの高値をつけている。欧州では1次市場と2次市場を合算すると月間10億~15億トンの排出枠が売買されている。月間500億~750億ユーロ(1トン50ユーロ)、約6.5兆~9.8兆円の巨大市場だ。

2005年に誕生した同市場はEU-ETS(EU-Emissions Trading System)と呼ばれるが、現在21ものETSがEU(欧州連合)を含む世界各地で運営されている。今年始動したのは中国とニュージーランドで、後者は筆者も参画するEEX(欧州エネルギー取引所)が同国政府とともに市場運営に携わる。

EU加盟27カ国と英国やノルウェーなど4カ国が参画し域内排出量の45%をカバーする欧州市場は、排出枠の割り当て入札を行う1次市場と割り当て済みの排出枠を売買する2次市場に分かれる。1次市場はEEXが約9割の市場シェアを占有、2次市場ではスポット・先物・オプション取引が行われEEXとICE(インターコンチネンタル取引所)がシェアでしのぎを削る。今まで入札された排出枠は43億トンで昨年は33社が8億トン超の入札に参加している。