早稲田大学商学学術院教授 井上 達彦(いのうえ・たつひこ)1968年生まれ、兵庫県出身。97年神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了、博士(経営学)。早稲田大学商学部助教授などを経て2008年から現職。著書に『ゼロからつくるビジネスモデル』『模倣の経営学』『世界最速ビジネスモデル 中国スタートアップ図鑑』(共著)など。(撮影:梅谷秀司)

米国人が今、最も働きたい中国企業はどこだと読者諸氏は考えるだろうか。アリババ、テンセントといった巨大企業だろうか、あるいは中国のIoT(モノのインターネット)の旗手であるシャオミや、TikTokで有名なバイトダンスだろうか。

いずれも違う。正解はVIPKIDというオンライン英会話サービス会社だ。日本ではあまり知られていないが、米メディアでは注目を集めている。経済誌『フォーブス』では、米アマゾンや同デルなどを抑え、「ベスト在宅勤務企業2018」ランキングで1位(20年は3位)に輝いた。現在、10万人強の北米人が同社と関係を持つ。

中国での教育熱は日本同様、世界的に見ても高い水準にある。教育費は家計支出の15%を占め、米国の2%をはるかにしのぐ。とくに英語教育が重視されており、国全体で年間150億ドル以上が使われている。数学などほかの科目と比較すると、英語教育の市場規模は4倍に達する。