大成建設から大和ハウス工業に移籍した村田誉之氏(67)。建設業界に豊富な人脈を持つと言われる(撮影:田所千代美)

「え、まさか」

5月14日、ハウスメーカー最大手、大和ハウス工業の本社(大阪市北区)にある会議室で、驚きの声があがった。

同社の芳井敬一社長はこの日の役員会で、スーパーゼネコンである大成建設の村田誉之副会長(当時)を6月29日付で大和ハウスの取締役副社長・技術統括本部長として迎え入れると報告した。建築分野で豊富な経験を持つ「大物」の移籍の知らせに、出席した役員の多くが目を丸くした。

【2021年7月19日10時18分追記】初出時の記事の一部に誤りがありました。お詫びの上、表記のように修正いたします。

特に、建築部門のトップである浦川竜哉取締役は、「これは大変なことだ。あらためて気を引き締めて経営にあたらなければ」と漏らしたという。

役員会の後、村田氏の副社長就任が公表されると、業界関係者はいっせいにざわついた。「このようなトップ人事は聞いたことがない」(複数の業界関係者)。5月中旬に行われた大和ハウスと大成建設の決算説明会ではそれぞれ、「この役員人事にはどういう狙いがあるのか」という質問が相次いだ。

「格下」のハウスメーカーへの転身

関係者が驚愕したのは無理もない。ゼネコンからハウスメーカーへの移籍は極めて異例だからだ。