日米中をはじめ、世界各国の経済動向を短期・中期・長期で予測する日本経済研究センターは米中GDPの逆転と、その後の再逆転を予想する。岩田一政代表理事・理事長に聞いた。

日本経済研究センター代表理事・理事長 岩田一政(いわた・かずまさ)1946年生まれ。70年東京大学教養学部卒業、経済企画庁入庁。日本銀行副総裁や内閣府経済社会総合研究所所長を経て2010年10月から現職。編著に『2060デジタル資本主義』など。(撮影:尾形文繁)

[ Point ]

・中国経済は2028年に米国を一時凌駕

・2050年代半ばには米国が再逆転する

党主導の締め付けは経済の活力を奪う

──2014年に公表された50年までの長期予測では、「中国の経済規模は米国を上回ることはない」としていました。

当時は30年くらいに米国が抜かれるという予想が多かった。われわれがそうではないと言ったのは、中国の経済・社会・政治の諸制度の質が低く、質的な成長要因である全要素生産性(TFP)が抑えられて結局成長できないとみたからだ。

米マサチューセッツ工科大学(MIT)のダロン・アセモグル教授も『国家はなぜ衰退するのか』(米シカゴ大学のジェイムズ・A・ロビンソン教授との共著)の中で、「国民から富を奪うような制度の国は決して永続しない」と述べている。その認識を基本的に共有していた。購買力平価ベースではすでに米国を上回っていたが、現行の為替レートでは米国のほうが大きく、抜かれることはないと主張した。

だが、5年後の19年末に公表した60年までの長期予測では、「30年代前半に中国が逆転する」と改訂した。中国の産業発展のスピードは目覚ましく、とくにAI(人工知能)技術とベンチャーのエコシステムはすさまじく進展していた。