一国の科学技術力を測る尺度として最も有効な指標が宇宙開発力である。宇宙を制するために主要国がどれほどの資金、人材、時間、先端技術を投じてきたかを振り返れば明らかである。

米ソの宇宙競争(スペースレース)は1957年の「スプートニクショック」で幕を開けた。緒戦でことごとく後塵を拝した米国は61年、ケネディ大統領が「アポロ計画」を発表、69年7月20日、3人の宇宙飛行士を乗せた「アポロ11号」が月面に到達してリベンジを果たした。

だが今日、米国の宇宙覇権にチャレンジするのはロシアではなく中国だ。中国が初の人工衛星「東方紅1号」を打ち上げたのは文化大革命中の70年4月24日のことだった。それから五十余年、「宇宙強国」を目指す中国は、米国を脅かす存在にまで強大化した。今この瞬間も火星では米国の探査機「パーシビアランス」(今年2月着陸)と中国の「祝融」(同5月着陸)が火花を散らす。

火星までの距離は最接近時で約7500万キロメートル、月─地球間の約200倍という長旅に加え、「軌道への投入」「周回」「探査車の軟着陸」と技術的ハードルが高く、「地球と火星の間には探査機の墓場がある」とまでいわれた。

米国が数十年かけて実現した火星探査を、今回中国は探査機「天問1号」による初めてのチャレンジで、しかもたった1回のミッションで成功させたのである。

5月15日、火星探査機「天問1号」の火星着陸成功に沸く中国の研究者たち(新華社/アフロ)