AIやドローン、ロボットなどの先進技術が軍に導入される(Colin Anderson Productions pty ltd)

2050年までに中国が経済規模で米国を抜いたとしても、空母や戦闘機など従来型の軍事力に限れば、グローバルに戦力を展開しうる米国を中国が凌駕することは不可能に近いだろう。一方、宇宙やサイバー空間など新領域での戦争は、非対称な戦いであり、軍民融合を進める中国が優位に立つ可能性がある。

事実、国際的な相互依存の深化や社会環境の変化を受け、大きな犠牲を伴う正規戦を避けようとする流れの中で、中国が最終的に先進国との戦いにおいて正面からの戦争ではなく、宇宙、サイバー、電磁波空間における非対称戦の能力を強化している。

ロシアが14年にクリミア半島を侵攻した際に行った、いわゆるハイブリッド戦争は「台湾侵攻シナリオのモデル」と考えられる。ロシアはサイバー攻撃、欺瞞や偽情報の拡散などの妨害活動で社会インフラや軍の活動をマヒさせ、これに軍事力を組み合わせて、極めて短期間にクリミアを併合することに成功した。

中国は歴史的にロシアの戦い方や装備品を参考にして取り入れているうえ、ハイブリッド戦争は物理的コストを少なくし、相手を消耗させ、短期間の戦闘で制圧することができる利点がある。

中国にとって台湾統一は、「中華民族の偉大な復興」のために、中国共産党の実効支配下に置くことである。とすれば、多くの破壊や犠牲者を出す台湾への懲罰的な武力行使ではなく、ハイブリッド戦争の手段を取るのが戦術的にも妥当である。筆者が考える台湾有事が起きる場合のシナリオは次のようなものだ。