中国共産党創立100周年を前に北京で開かれた文芸公演。習近平指導部がそろって鑑賞した(AP/アフロ)

来年秋の党大会で習近平(68)は国家主席に3選され、毛沢東と並び個人崇拝の対象になり、あらゆる権力を掌握する──。

今や誰もが口にする既定シナリオだ。ただ、その見方には“死角”もある。意外なことだが習自身、過去に「居座り」を否定する考えを公言している。2014年9月、全国人民代表大会成立60周年祝賀大会でのスピーチ(「中国の特色ある社会主義政治制度に対する自信を固めよう」)でのことだ。

「一国の政治制度が民主的かつ効果的であるか否かの評価は、主として国の指導層が法によって秩序ある交代ができるかどうか、(中略)を見なければならない」

この発言は中国政治の後進性を批判する西側先進国を多分に意識したものだった。「いや、だからこそ憲法を改正し、つじつまを合わせたのだ」と考えることは可能だ。18年には憲法を改正し、国家主席の任期を連続2期10年までとする規定を撤廃している。

しかしそれだけの解釈では早計すぎる。習が指しているのは「指導層」、つまり7人の党中央政治局常務委員(常委、「7皇」と呼ばれる)の定年に関する党内ルール、いわゆる「七上八下」(党大会時点で67歳であれば残り、68歳ならば退く定年制)と思われるからだ。

鄧小平が定年制を敷いたのは、世代交代の促進や権力闘争の激化に歯止めをかけるためだった。定年制を撤廃すれば、そのタガが外れるリスクがあるし、常委を引退させる理由が失われる。